商品解説
東海道新幹線誕生の地である「鴨宮モデル線区」を舞台に、前例のない巨大プロジェクトに挑んだ男たちの執念と技術哲学を描いたノンフィクションです。
本書の内容を、主要な登場人物とテーマに沿って紹介します。
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1.プロジェクトの牽引者:十河信二と島秀雄
物語の土台となるのは、「新幹線の生みの親」である第四代国鉄総裁・十河信二と、技術面を統括した技師長・島秀雄の強い「決意」です。十河は、政治的逆風や巨額の予算不足という“非常識”な状況下で、一人で二人分も三人分も働くという精神主義、そして学閥打破による実力本位制(十河イズム)を浸透させ、組織を動かしました。一方、島は将来を見据えた「動力分散方式(電車列車方式)」を提唱し、既存技術の組み合わせを強調しながらも、実際には半導体革命などを取り入れた最先端のシステムを構築しました。
2.現場の悪戦苦闘:鴨宮モデル線区の男たち
本書の核心は、鴨宮モデル線区で「夢の超特急」の実現可能性を証明するために奮闘した専門家たちの物語です。
●車両設計の石澤應彦
初代0系新幹線の足回りである「IS台車」の設計主務者。過去の数々の失敗経験から「絶対安全なんて絶対にない」という信念を持ち、経年変化に対応可能な可変台車や、万一の車軸折損時に脱落を防ぐ「ツノ」などの安全機能を盛り込みました。
●運転の「やんちゃ坊主」大塚滋
モデル線での試験走行を指揮。1963年3月30日、蛇行動による激しい震動の中でも運転士の手を抑えて加速を続け、当時の世界最高速である時速256キロを達成したクライマックスは圧巻です。
●軌道の立松俊彦
盛り土が年に1メートルも沈むという過酷な地盤状況下で、ミリ単位の精度を維持する戦いに挑みました。精神論に頼る従来の保線から脱却し、数値を客観的に管理する「ジャリ山図」などの理論的な保守マニュアルを確立しました。
●電気の前川典生
新幹線の成否を握る「交流電化」を担当。50ヘルツと60ヘルツの混在問題や、高速走行時に発生する巨大な火柱(アーク)などの難題を、中古の周波数変換機や最先端の半導体(シリコン整流器)技術を駆使して解決しました。
●名センセイの谷川公一
世界初の超高速運転に対応できる運転士220名の養成に心血を注ぎました。彼の執筆した「使える講義録」は、想定外の故障に対処するための理論バイブルとして長く読み継がれました。
結びに
新幹線は単なるハードウェアの成功ではなく、戦後日本の「青春の証明」であり、非常識な条件を突破しようとした無数の人々の「決意」の結晶でした。本書は、その熱と哲学を今に伝える一冊です。
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